鵜鳥神社遥拝殿で舞い立ちの
儀式を行う神楽衆。
長年変わらずに行われてきた
鵜鳥神楽の姿です
村の鳥居地区にある鵜鳥神社に伝わる鵜鳥神楽の巡業が5日始まりました。南回りの今年は、村から釜石市方面へと神楽衆が足を延ばし、旧家や公民館で家内安全、無病息災を祈る多彩な神楽を舞い、沿岸地区に新春を呼び込みます。
神楽衆は5日、鵜鳥神社遥拝殿で「ショシャ舞」「権現舞」を舞い、舞い立ちの儀式を行いました。
当日の公演は堀内机。神楽衆一行は「権現舞」を演じながら入場。「権現」とは神の仮の姿といわれ、権現様をいただいた神楽衆の「権現舞」は、その夜の宿をいただく場所に入るときの礼儀とされてきました。
太鼓や笛、手平鉦が鳴り響く中、松を迎えて新しい年を祝う「松迎い」や厄難を払う祈とうの舞「山の神」など11演目を披露しました。
今年から神楽衆に加わった鳥居地区の下川光代さん(久慈商業3年)、下橋場美香さん(久慈高2年)、小屋敷一隆君(普代中3年)の3人も堂々の神楽を披露し、集まった約50人の観衆から喝さいをあびていました。鵜鳥神楽のこの巡業は「霞掛け」と呼ばれ、今年は南回りで釜石市方面にまでの巡業です。
鵜鳥神楽は、9世紀初めに建立された同神社が、山伏修験者の霊場として発展していった際に生まれたとされています。
「北の鵜鳥・南の黒森」と呼ばれ、宮古市の黒森神楽と1年交代で北回り(久慈市方面まで巡業)、南回りと巡業する全国でも珍しい神楽です。神楽巡業は、その昔から、神をあがめる舞として伝えられ、地域の中にしっかりと根付いてきた村の大切な郷土芸能であり文化と言えるでしょう。